インターンシップから得るもの
■ 「社会や仕事」についての具体的なイメージをつかむ
直接仕事の様子を見て取れる職業(例えば医師)の場合、少なくとも表面的な仕事の内容に関してはイメージを描けますが、企業での仕事は業種や職種により多種多様であり、個別の仕事について具体的なイメージを描けないのが普通です。 インターンシップを経験することで、擬似的ではありますが、実社会の中に身をおいて、企業の仕事のなかのたった一つにせよ垣間見ることは、全く経験の無い場合に比べ、「社会や仕事」を理解するレベルに大きな差がつきます。ネットや各種メディア、先輩などからも情報は得られますが、やはり「百聞は一見に如かず」です。また、研修を行なった仕事を一つの目安とすることで、ネットなどのメディアを媒介とする間接的で二次的な情報を正しく理解することにも役立つでしょう。
■ 適性についての気付きや専攻分野へのフィードバックを得る
インターンシップでは新しい体験の中で、今まで自分が想像していなかった分野に自分の適性や関心のある領域を見出すこともあれば、経験することで、適性の無さや関心の薄さに気付くこともあります。 もともと専門分野として学習している分野のインターンシップでは、企業の実践的なレベルに触れることが、大学や院での研究に対して、学習目的の明確化や興味の深化を促す効果をもたらすことがあります。また、結果的に企業への就職をせず、博士課程を目指す場合も、最先端の製品開発に懸命に取り組む企業の開発現場に触れておくことは、視野の拡大、学習目標の明確化など様々なポジティブフィードバックをもたらすことが期待できるでしょう。
■ ソフト開発などの技術の習得
インターンシップは「労働への対価は求めない」のが原則です。人材発掘や企業PRを目的として、インターンシップ報酬制度を設けている会社もありますが、研修生の生み出す成果物(労働)を期待して報酬を設定する企業はありません。もしあるとすればアルバイトを「インターンシップ」と偽っていることになりますので、注意が必要です。 但し、特にソフト開発系のベンチャー企業には、「潜在的な能力と、明確な目的意識」を持つ学生に対して、アルバイトとインターンシップの中間的な長期インターンシップを実施している場合が少なくありません。研修参加当初は報酬に見合う開発技能を持っていなくても、研修を通じて技能を高め、将来的には正社員としての入社を期待しての制度と考えられます。ベンチャー企業は、大手企業に比べて知名度や社会的信用度が低いため、実際の現場で会社のエネルギーを感じて貰いたいとの期待もあるでしょう。一方、学生にとって、企業の開発現場で上級者の教えを請いながら実践的に技術習得に取り組むことで習熟スピードを早め応用力を身につけることは大きなメリットです。
■ コミュニケーションの取り方等の社会人基礎力を学ぶ
企業が新入社員に求める重要な素養の一つが「コミュニケーション能力」です。正しい言葉遣い、他者と接する際の物腰や態度といったごく基本的なことから、理解力、発信力、説得力、リーダーシップといった応用的な要素まで「コミュニケーション力」はじつに多くの要素で構成されています。 ゼミ、アルバイト、サークル活動など様々な人間的、社会的なかかわりを通じ、皆さんの「コミュニケーション力」は育まれてきましたが、中には勉強や趣味に没頭して、社会とのかかわりを充分経験することなく、社会に出て行く人もいます。潜在的な能力はあるのに、経験不足でコミュニケーションが(自分では気付かないが)上手く出来ない人も数多くいることでしょう。 インターンシップは、「コミュニケーション力」を始め、「マナーや規律」など言わば「社会人としての基礎能力」を身をもって学ぶことの出来る絶好の機会です。
■ 企業や業界についての知識を得る
社会人になるにあたり、主体的な企業選択を行なうには、自分なりの判断基準が必要ですが、そのためには企業のことをある程度理解しておかなければいけません。また、企業による選択プロセス(採用面接など)においても「説得力のある明確な志望理由」や「入社への熱意」を持っていることが重要ですが、これも会社や業界についての一定の理解をしていることが前提となります。 会社説明会やホームページなど企業が発信する情報(特に上場企業の場合、経営の課題や現状、従業員の平均年齢や給与などの広範で詳細な情報が有価証券報告書で開示されています。)、生活者の立場で直接得た知識、先輩や友人などから得る情報、など企業を理解するための情報は豊富にありますが、奥行きの深さという点で、見るもの、聞くもののすべてが意味のある情報と言っても過言で無い「職場体験型のインターンシップ」に勝るものはないでしょう。
■ キャンパスでの学習との相乗効果
米国で100年の歴史を持つインターンシップですが、その起源はシンシナティ大学のハーマン・シュナイダー工学部長(のちに学長)のイニシアティブ(1906年に試行開始)によるもので、実施の目的は大学教育の効果を高めることにありました。 (シュナイダー氏は学生時代に建設会社で働きながら学位を取得した経験を通じて、教室で学べないことを企業の現場から学ぶことの効果を身をもって体験していました。) 日本でのインターンシップは現状1週間から2週間の短期的なものが多く、企業での研修のレベルに濃淡があることは否めません。しかし、たとえ短期の場合でも実社会の最前線で熾烈な戦いを繰り広げている企業の現場には、キャンパスにおける専攻分野での学習意欲を喚起するに充分な良質な刺激が転がっている筈です。 理系であれ、文系であれ、最先端のテクノロジーや理論を駆使しつつコスト、安全性、環境などの商品性を考慮してモノやサービスを開発、販売する企業の現場から、専攻分野に通じる何らかのヒントや糸口を見出してその後の学習に弾みをつけることができれば理想的と言えます。
■ 就職への足がかりを得る
「就職への足がかりを得る」、という言葉は一見「インターンシップ本来の意義」とかけ離れたように受け取れます。しかし、学生がインターンシップを通じて企業への理解を深めて就職を希望し、企業もその学生の能力や性格、労働意欲などを把握した上で結果的に採用に結びつくというのは「インターンシップ本来の意義」に照らしても決してネガティブなことではないでしょう。問題は、インターンシップへの参加が勉学への支障を来たしたり、サークル活動に日程的な犠牲が及ぶことにあります。インターンシップで充分な成果を上げるには3ヶ月くらいは必要ですが、現状1~2週間の短期的なインターンシップが主流となっている理由の一つが学生の時間的な制約といえます。 インターンシップには「採用直結型」のものもありますし、「採用とは無関係」との方針のもと、「インターンシップ参加学生の研修データ」を一切保持しない、または利用しない企業もあるでしょう。しかし、「採用直結型」が「就職への足がかり」となるのは当然として、「採用とは無関係」の場合も、少なくとも学生側からすれば、「企業を知る、見る、判断する」格好の機会であり、「企業選択」という観点では就職活動に密接に結びついています。さらに、「採用とは無関係」な企業の場合でも、「企業内部(特に職場体験型)でのインターンシップ経験者」がその企業を志望する時の志望動機の説得力がそうでない場合に比べて強くなることは否めないでしょう。
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